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タイムマシンの原理その3

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、シュワルツシルトのブラックホールについて解説する。

シュワルツシルトのブラックホール
 1917年、アインシュタインは一般相対性理論の方程式を完成し、重力により時空がゆがめられることを説明した。同じ年に、ドイツの天文学者カール・シュワルツシルトが、球対称で回転していない質量の周りの、ゆがんだ時空を記述するアインシュタイン方程式の解を発表した。シュワルツシルト半径より内側からは光でさえ飛び出すことができない。太陽と同じ質量の天体のシュワルツシルト半径は約3kmである。シュワルツシルト半径より凝縮した天体はブラックホールになる。

ペンローズ・ダイアグラム
 ブラックホールによるタイム・トラベルを理解するには、ペンローズ・ダイアグラムを理解する必要がある。世界地図は、球面を二次元で表現するために様々な図法が用いられている。ペンローズ・ダイアグラムは、時空間を二次元で表現する図法の一つである。通常の時空間のペンローズ・ダイアグラムを下図に示す。点Pは時間的過去の無限大、点Fは時間的未来の無限大、点Eは空間的無限大、辺Sは光的過去の無限大、辺Dは光的未来の無限大を示す。光的過去の無限大とは、光速で進む信号で知ることができる最大の時空間を現している。辺Sから発射された光は、左上45°の傾きで現地点の時間線に到達する。辺Sより遠方または過去の世界は知ることができない。光的未来の無限大とは、光速で進む信号を送ることができる最大の時空間を現している。
Penrose1

シュワルツシルト・ブラックホールのペンローズ・ダイアグラム
 シュワルツシルト・ブラックホールのペンローズ・ダイアグラムは、下図のようになる。時空のゆがみが無限大となる特異点が生ずる。ペンローズ・ダイアグラムでは、慣例として特異点をギザギザの線で表す。特異点からシュワルツシルト半径だけ離れたところに、一方通行の膜がある。ペンローズ・ダイアグラムでは、<印で表す。点Mから出発した旅行者は、一方通行の膜を通って特異点に吸い込まれ、そこから出ることはできない。
Penrose2

シュワルツシルトの解すべての表示
 アインシュタイン方程式のシュワルツシルトの解のすべてをペンローズ・ダイアグラムで表現すると下図のようになる。一方通行の膜をもつ第二の宇宙が出現し、さらに、物質を吐き出すホワイトホール(過去の空間的特異点)が発生する。ホワイトホールは、ブラックホールを時間反転したものといえる。ホワイトホールのシュワルツシルト半径も一方通行の膜であるが、この膜は物質を吐き出すだけで内部に入れることはない。
Penrose3

第二の宇宙
 この宇宙の中で、ブラックホールと考えられる天体は、いくつか発見されているが、ホワイトホールと思われる天体は発見されていない。この宇宙の中には、ホワイトホールは存在しないのかもしれない。
 アインシュタイン方程式の解で出現する第二の宇宙は、1935年に、アインシュタインとナザン・ローゼンが、素粒子のモデルとしてシュワルツシルトの解を使おうとしたときに発見された。第二の宇宙は、われわれの宇宙とは独立した別の宇宙かもしれないし、われわれの宇宙の離れた領域かもしれない。アインシュタインとローゼンは、第二の宇宙は、われわれの宇宙の離れた領域と推定した。二つの宇宙は、光より速い信号を使わないと通信できない。二つの宇宙をつなぐ超光速の空間的結びつきを、「アインシュタイン=ローゼン・ブリッジ」または「ワームホール」と呼ぶ。量子力学の世界では、「量子テレポーテーション」という瞬時に量子の状態が伝わる現象がある。これは、ワームホールによる現象ではないかと考えられた。

量子テレポーテーション
 何もない空間にガンマ線を照射すると、電子と陽電子が対生成する。電子と陽電子は、互いに逆向きのスピンを持っているが、不確定性原理により、スピンの向きは観測するまで不確定である。対生成した片方の電子のスピンの状態を観測してアップスピンだったとすると、その瞬間にもう一方の陽電子のスピンの向きがダウンスピンに確定する。電子と陽電子がどんなに離れていたとしても瞬時に確定する。このような対の量子の状態を「量子もつれ」という。量子テレポーテーションは、実際に粒子が別の空間へ移動することではなく、量子もつれの状態の片方の量子の状態が確定すると、瞬時にもう一方の量子の状態も確定することをいう。
 量子テレポーテーションを利用して、絶対に盗聴不可能な量子暗号化技術が開発され、実用化されようとしている。量子暗号化は、量子もつれ状態の光子の偏光状態を観測することによって、暗号鍵の伝送を行っている。
Tsuisei

タイムトラベルの可能性
 シュワルツシルトのブラックホールは、第二の宇宙が出現し興味深いが、第二の宇宙と通信するには、超光速信号を使わなければならない。量子テレポーテーションは、量子の状態が瞬時に確定するというだけで、情報を超光速で送れるわけではない。たとえ、ワームホールを使って第二の宇宙に行くことができたとしてもタイムトラベルは不可能である。

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