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タイムマシンの原理その7

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、超極限のカー物体について解説する。

超極限のカー物体
 カーのブラックホールは、質量Mと角運動量Aの値だけでその特性が記述できる。MがAより大きい場合は、二つの一方通行の膜が存在する。Aが増大するにつれて二つの膜がしだいに接近し、A=Mのときに二つの膜は融合する。このように、ブラックホールの質量と角運動量が釣り合っている状態を超極限のカー・ブラックホールという。
 角運動量がさらに増大し質量を超えると、一方通行の膜は消失し、リング状特異点が露出する。このような状態になると、ブラックホールに突っ込まなくても正のCTL領域に入り、過去にさかのぼることができる。角運動量が質量を超えて特異点が露出した物体を「超極限のカー物体」(SEKO:Super-Extra Kerr Object)という。
 このように、露出した特異点を「裸の特異点」という。裸の特異点が存在すると、理論的に因果関係を予測することができなくなる。ロジャー・ペンローズは、自然界にはそんなものは存在しないだろうと考え、「宇宙検閲仮説」というものを提唱した。
Seko

裸の特異点
 通常、ブラックホールの特異点は、一方通行の膜(事象の地平面)によって囲まれており、われわれが特異点を直接観測することができない。したがって、特異点の影響をわれわれの宇宙は受けないので、因果関係が崩れることはない。しかし、裸の特異点が現れると、密度が無限大となる点の影響により、一般相対性理論が破綻し、理論的に因果関係を予測できなくなる。
 超極限のカー物体のペンローズ・ダイアグラムを下図に示す。カーのブラックホールで存在していたペーパードール・トポロジーは消え失せ、一対の正の時空間と負の時空間のみになり、リング状特異点により隔てられている。リング状特異点が露出することにより、時空全体がCTL領域となる。われわれの宇宙に超極限のカー物体が一個存在するだけで、時空全体が影響を受ける。つまり、いたるところに過去への入口が存在するかもしれないのである。
Penrose7

宇宙検閲仮説
 裸の特異点が存在すると、物理現象の因果関係が破綻するため、宇宙検閲仮説というものが考え出された。裸の特異点が存在しないように、宇宙自体が検閲し、禁止しているという仮説である。
 1992年にシャピーロとトイコルスキーによって示された、円盤状の塵の崩壊のシミュレーションでは、崩壊した軸上の少し外れた点において、曲率が無限大になり破綻した。このシミュレーションでは事象の地平面ができなかったので、裸の特異点が形成されたと考えられた。この結果は、宇宙検閲仮説が破れていると受け取れる。ホーキングは、キップ・ソーンと、「宇宙検閲仮説」は守られるかどうかで賭けをしていたが、このシミュレーション結果に対し、数年後、ホーキングが負けを認めた。したがって、裸の特異点が存在する可能性は高い。

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<参考>

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