ジョン・タイターの予言

 2036年からやってきたジョン・タイターの予言が誇張して広まっているので整理してみた。的中した予言と的中しなかった予言と今後の予言が含まれる。

的中した予言
(1)タイムトラベルの実現
 「約1年後にはCERN(欧州原子核研究機構)でタイムトラベルの基礎研究が始まり、2034年にタイムマシンが完成する」(投稿日:2000.11.2)
 タイムマシンの完成は、まだ先であるが、CERNが2007年に完成する大型加速器で、ミニブラックホールを形成できる可能性を発表したことにより、タイムトラベルの基礎となる研究が開始された。

(2)IBM5100の隠された機能
 「私の世界線では、IBM5100はAPLやBASICが普及する前に書かれたIBMのプログラミング言語もすべて解読できるということが判明している」(投稿日:2001.2.2)
 ジョンが投稿するまで、この事実は公開されていなかった。IBM社の元エンジニアのボブ・ダブック氏がインタビューでこの事実を認めており、ジョンがこの情報をどこから入手したのか不思議がっていた。

(3)新ローマ教皇の誕生
 「ローマ教皇は交代したが、名前は知らない」(投稿日:2001.2.8)
 2005年4月2日にヨハネ・パウロ2世が死去し、2005年4月19日にベネディクト16世が新ローマ教皇となった。これは、ヨハネ・パウロ2世が80歳を越えていたことから誰でも予測できたと思われる。

(4)ペルー沿岸地震
 「ペルー地震を予言することもできるが、それだとその地震で死ぬはずの人が生き残り、生き残るはずの人が死ぬという事態が起こってしまう」(投稿日:2001.2.8)
 2001年6月23日、ペルー沿岸でマグニチュード7.9の地震により大きな被害が発生した。予言でないような言い方であるが、非常に近いタイミングで地震が発生している。

(5)中国の宇宙進出
 「中国は、もうすぐ有人宇宙船を周回軌道にのせるところまできているはずだ。そのうち実現しても不思議ではない」(投稿日:2001.2.19)
 2003年10月15日、中国は初の有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げに成功した。あいまいな言い方であるが的中している。

(6)第2次湾岸戦争
 「現在イラクが核兵器を持っていることを知ってしまったら、あなたは驚くか? それとも、皆の尻をたたいて次の戦争に備えさせるためのたわごとに過ぎないと思うか?」(投稿日:2001.2.25)
 2003年3月19日、イラクが大量破壊兵器を隠しているという理由で米英連合軍がイラク空爆を開始した。その後、米調査団によって大量破壊兵器は存在しないと発表された。あいまいな言い方であるが、核兵器を理由に開戦したと解釈すると的中している。

(7)狂牛病の蔓延
 「はい、人は絶えず死んでいる。その多くはクロイツフェルト・ヤコブ病(狂牛病)によるものである。この病気がいかに甚大な被害をもたらすかぜひ訴えておきたい。2人の患者が、外科手術の器具でクロイツフェルト・ヤコブ病にかかり、コロラド州で死亡が確認されている」(投稿日:2001.3.24)
 ジョンはアメリカ国内にもクロイツフェルト・ヤコブ病が発生することを示唆している。当時、ヨーロッパを中心に狂牛病と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の関係が確認されており、専門的なソースに当たれば入手できた情報ともいえる。

的中しなかった予言
(1)2000年問題
 ジョンの両親に、2000年問題のために発生する災害への備えとして引っ越すようにうながした。(1998.4.27)
 2000年問題は、ジョンがいた世界が経験したような大きな問題にはならなかった。ジョンは、このことに対して大きなショックを受けていた。

(2)アメリカ内戦勃発
 「アメリカでは2005年に内戦が始まる。その戦いは、断続的に激しくなったり収まったりしながら10年間続く」(投稿日:2000.11.7)
 まだ内戦は発生していない。ジョンが現れたことにより世界線のずれが発生しているのかもしれない。

未来の予言
(1)2008年 北京オリンピックの中止
 「多くの戦争の結果、2004年以降、公式なオリンピックは開かれていない。でも2040年に再開される見込みである」(投稿日:2001.1.29)

(2)西側諸国の情勢不安と中国の台頭
 「今後、西側諸国の情勢はきわめて不安定になり、中国に拡大する自信を与えてしまう。中国には今、結婚もせずに死にゆく覚悟ができている男性兵士が何百万人もいる。中国軍のヨーロッパへの攻撃は、統一ヨーロッパが集結し、ドイツから東側へと移動していったためである」(投稿日:2001.2.6)

(3)西側諸国の情勢不安から来る中東での大量破壊兵器使用
 「イスラエルへの西側の支持が揺らいだために、周辺のアラブ諸国は自信を持って攻撃を始める。防戦一方のイスラエルと攻撃を続けるアラブ諸国という構図に対する最後の手段が、大量破壊兵器の使用である」(投稿日:2000.12.13)

(4)2015年以前 日本、台湾、朝鮮の中国強制併合
 「日本、台湾、朝鮮半島はすべて、Nデーの前に強制併合された」(投稿日:2001.2.6)
 Nデーとは2015年のことか?

(5)2015年 第3次世界大戦
 「2015年に世界戦争が起こり、30億人近くの人が死んだ」(投稿日:2000.11.4)
 「2015年、ロシアがアメリカの主要都市に核攻撃を仕掛ける。中国やヨーロッパも攻撃を受ける。アメリカは反撃するが、アメリカの都市は破壊され、AFE(アメリカ連邦帝国)も崩壊して、田舎に住む私たちが勝利を手にする。ヨーロッパ連合と中国も破壊される」(投稿日:2000.11.7)
 「生物・化学兵器は使われた。洗脳兵器は使われなかったが、新しいタイプの非致死兵器が登場する。それは結局、致死性が極めて高いものだった」(投稿日:2000.11.25)

(6)中国軍に反撃するオーストラリア
 「オーストラリアは、戦争後はあまり協力的でも友好的でもなくなった。中国軍の侵攻に反撃し、ほとんどの都市が破壊されたらしい。アメリカとの貿易関係は続いている」(投稿日:2001.2.6)

(7)2020年 タイムトラベル反対派の抹殺
 「私の世界線では反対運動はあったが、彼らの目的は権力を保持して、人々を支配するということだった。われわれは、2020年までに、彼らのほとんどを抹殺した」(投稿日:2000.11.7)

詳細は下記書物を参照

「未来人ジョン・タイターの大予言」
2036年からのタイムトラベラー
Max mook


参考
2036年からのタイムトラベラー出現!!
2036年からのタイムトラベラー出現!!その2

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タイムマシンの原理その10

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、ジョン・タイターが公開したタイムマシン操作マニュアルのタイムマシン原理図を解説する。

タイムマシン原理図
 ジョン・タイターは、タイムマシンの操作マニュアルの中から数ページ抜粋して、インターネットの掲示板に公開した。下図は、タイムマシンの原理を示す図である。
Timemanu
①カー領域の双対特異点
②負時間領域の出力
③無時間領域の出力
④正時間領域の出力
⑤X軸出口円錐
⑥垂直安全距離
⑦質量オフセット
⑧後方質量分布
⑨前方質量分布
⑩負時間事象の地平線
⑪無時間事象の地平線
⑫正時間事象の地平線

 この図は、タイムマシンの原理その7で紹介した「超極限のカー物体」に似ている。超極限のカー物体は、質量による重力よりも自転による角運動量の方が大きく、特異点が裸の状態になった物体である。しかし、超極限のカー物体は、特異点が一つだけであるが、上図は特異点が二つある。特異点が二つあるブラックホールの解については、まだ誰も解いていない。
 事象の地平線は存在しているがドーナツ状になっており、上下方向からは特異点がむき出しになっている。
 特異点が二つあるためか、質量の重心が中心からずれている。

タイムマシンの動作
 ジョン・タイターは、『タイムトラベルは、重力の強さを自在に変化させることにより達成される。人工の双対ミクロ特異点を取り巻く質量と重力場に電子を注入して荷電させ、「カー局所場」ないし「ティプラー重力シヌソイド」内の事象の地平線の直径を拡大する。ドーナツ状特異点の環内に物質を通過させ、別の世界線へと送り込む動作をシミュレート操作して、局所場を適合・回転・移動できれば、安全なタイムトラベルが可能となる。』と表現している。
 回転するブラックホールに電荷を注入すると、タイムマシンの原理その6で紹介した「カー=ニューマンのブラックホール」になる。カー=ニューマンのブラックホールは、特異点の周囲に正のCTL領域が生成されるので、リング状特異点を通り抜けなくてもタイムトラベルが可能となる。
 電荷を注入することにより、重力に打ち勝つ反発力が生じるため、ドーナツ状特異点の直径が拡大する。さらに、特異点の自転による角運動量によってもドーナツ状特異点の直径が拡大するため、特異点が裸の状態になると考えられる。
 このようにして、特異点が裸の状態になり、正のCTL領域がタイムマシン全体を包み込むことにより、タイムトラベルが行われると考えられる。

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「未来人ジョン・タイターの大予言」
2036年からのタイムトラベラー
Max mook


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タイムマシンの原理その9

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、超ひも理論のブレーンワールド仮説について解説する。

超ひも理論
 物質の最小単位である素粒子を大きさ0の「点」として重力を計算すると、値が無限大になるなど矛盾が生じることがあるため、物質の最小単位を「ひも」と仮定して考え出された理論が超ひも理論である。ひもの長さは10の-33乗cm(プランク長さ)と非常に小さい。ひもの振動の違いによって、ひもが様々な種類の素粒子に見える。

自然界の四つの力
 自然界には四つの力が存在する。重力、電磁気力、強い力、弱い力の四つである。強い力とは、陽子と中性子を結びつける力で、電磁気力の100万倍ほども強いが、到達距離は10の-14乗cmと短い。弱い力とは、素粒子の崩壊を起こす力で、電磁気力よりはるかに小さく、到達距離も10の-16乗cmと短い。弱い力を分かりやすくいうと、素粒子を変化させる力である。たとえば、孤立した中性子は、約15分の寿命で、陽子と電子と反ニュートリノに変化する。これは弱い力によって起きている。
 現在、重力以外の三つの力は、理論的に統一された一つの力として説明できる。超ひも理論が完成すれば、重力も含めて、すべての力が統一的に説明できると期待されている。

10次元時空
 超ひも理論を矛盾なく構築するには、この世界が少なくとも10次元時空である必要がある。しかし、われわれが知覚できるのは、X軸,Y軸,Z軸と時間軸の4次元時空である。残りの6つの空間次元は、われわれが知覚できない「余剰次元」となっている。余剰次元のサイズは、10の-33乗cm程度にコンパクト化されていると考えられている。

ブレーンワールド仮説
 ひもには、ループ状に閉じたひもとループになっていない開いたひもがある。開いたひもの端はどうなっているのかと考えたときに、膜にくっついているのではないかという理論が出された。それがブレーンワールド仮説である。ブレーンは英語の「membrane(膜)」からきている。膜は、必ずしも2次元の平面ではなく、3次元の立体ブレーンも考えられる。
 開いたひもは、常に両端がブレーンにくっついているので、ブレーン上を滑るように移動する。ひもはすべての物質を構成する基本要素なので、すべての物質は膜に貼りついている。閉じたひもの一部は、ブレーンを飛び出して、高次元空間を伝わることができる。この閉じたひもは重力子である。
 われわれの世界がブレーンワールドに閉じ込められているとしたら、余剰次元が10の-33乗cm程度にコンパクト化されている必要はない。われわれはブレーンワールドの外の次元を知覚できないので、余剰次元はもっと大きくてもよい。
 重力子が3次元空間を伝わるとすると、重力の大きさは、距離の2乗に反比例して小さくなる。観測結果によると、実際に距離の2乗に反比例して小さくなっているので、観測できる範囲では、余剰次元の影響は現れていない。しかし、実験では0.1mm以下でも成り立つか確認されていない。したがって、余剰次元が0.1mm程度である可能性もある。余剰次元の大きさが0.1mmとすると、0.1mm以下に物体を接近させると距離の3乗に比例して重力が大きくなる。

Brane

タイムマシンの可能性
 従来の重力理論では、10の-24乗kgの質量を10の-51乗mまで圧縮しないとブラックホールにはならなかった。しかし、超ひも理論のブレーンワールド仮説が正しいとすると、物質が接近すると急激に重力が強くなるため、10の-18乗m程度でブラックホールが形成される。これは、2007年完成予定のCERNの大型加速器LHCで十分到達できるレベルである。
 人工ミニブラックホールを作ることができれば、その強力な重力場による時空のゆがみを利用して、タイムマシンを実現できる可能性がある。

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タイムマシンの原理その8

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、ミニブラックホールについて解説する。

ミニブラックホールによるタイムマシン
 前回までの説明で、カーのブラックホールが超極限状態になると、特異点がむき出しの状態になり、タイムトラベルが可能であることを示した。では、その超極限のカー物体が、この宇宙に存在するのだろうか。観測結果によると、各銀河の中心には、巨大なブラックホールが存在するらしいことが分かってきた。しかし、タイムトラベルするために、そのブラックホールの近くまで行くのは大変な仕事である。
 ミニブラックホールを人工的に作ることができれば、身近なところでタイムマシンを実現することができる。超ひも理論によると、2007年に完成予定のヨーロッパ原子核研究所(CERN)の大型加速器LHCを使えば、ミニブラックホールを作ることができると予想されている。
 ジョン・タイターは、「タイムトラベルの基礎がためは、CERN(ヨーロッパ原子核共同研究機関)で始まり、2034年にタイムマシン1号機が製造される」と言っている。2034年には、大型加速器を使わなくてもミニブラックホールを作れるようになっているのかもしれない。

ミニブラックホールの作り方
 ブラックホールを作るのに必ずしも大量の質量は必要ない。CERNの大型加速器LHCは、陽子を光速近くまで加速して正面衝突させることにより、10の-24乗kgに相当する質量を10の-19乗mという狭い領域に集中させることができる。
 従来の重力理論では、10の-24乗kgの質量を10の-51乗mまで圧縮しないとブラックホールにはならなかった。しかし、超ひも理論のブレーンワールド仮説が正しいとすると、物質が接近すると急激に重力が強くなるため、10の-18乗m程度でブラックホールが形成される。これは、大型加速器LHCで十分到達できるレベルである。大型加速器LHCでは、1秒に1個の割合でミニブラックホールを作ることができるという。

ブラックホールの蒸発
 ブラックホールは、なんでもかんでも飲み込んでしまう、とても恐ろしいものと考えられていた。しかし、スティーブン・ホーキング博士によると、ブラックホールは蒸発するという。
 量子力学ではエネルギーと時間は不確定性関係にあり、時空の微小な領域で粒子と反粒子の対生成・対消滅が絶えず起こっているとされる。ブラックホールの地平面の近傍でこのような粒子対が生成すると、それらが対消滅する前に、片方の粒子がブラックホールの地平面内に落ち込み、もう一方の反粒子が遠方へ逃げ去ることがある。この粒子の放出はブラックホールの地平面上で確率的に起こるため、ブラックホールが、ある温度の熱放射で光っているように見える。これをホーキング輻射と呼ぶ。このホーキング輻射によってブラックホールの質量が減少し、最後には蒸発してしまう。大型加速器LHCで作られるようなミニブラックホールであれば、一瞬のうちに蒸発してしまうと考えられる。

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タイムマシンの原理その7

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、超極限のカー物体について解説する。

超極限のカー物体
 カーのブラックホールは、質量Mと角運動量Aの値だけでその特性が記述できる。MがAより大きい場合は、二つの一方通行の膜が存在する。Aが増大するにつれて二つの膜がしだいに接近し、A=Mのときに二つの膜は融合する。このように、ブラックホールの質量と角運動量が釣り合っている状態を超極限のカー・ブラックホールという。
 角運動量がさらに増大し質量を超えると、一方通行の膜は消失し、リング状特異点が露出する。このような状態になると、ブラックホールに突っ込まなくても正のCTL領域に入り、過去にさかのぼることができる。角運動量が質量を超えて特異点が露出した物体を「超極限のカー物体」(SEKO:Super-Extra Kerr Object)という。
 このように、露出した特異点を「裸の特異点」という。裸の特異点が存在すると、理論的に因果関係を予測することができなくなる。ロジャー・ペンローズは、自然界にはそんなものは存在しないだろうと考え、「宇宙検閲仮説」というものを提唱した。
Seko

裸の特異点
 通常、ブラックホールの特異点は、一方通行の膜(事象の地平面)によって囲まれており、われわれが特異点を直接観測することができない。したがって、特異点の影響をわれわれの宇宙は受けないので、因果関係が崩れることはない。しかし、裸の特異点が現れると、密度が無限大となる点の影響により、一般相対性理論が破綻し、理論的に因果関係を予測できなくなる。
 超極限のカー物体のペンローズ・ダイアグラムを下図に示す。カーのブラックホールで存在していたペーパードール・トポロジーは消え失せ、一対の正の時空間と負の時空間のみになり、リング状特異点により隔てられている。リング状特異点が露出することにより、時空全体がCTL領域となる。われわれの宇宙に超極限のカー物体が一個存在するだけで、時空全体が影響を受ける。つまり、いたるところに過去への入口が存在するかもしれないのである。
Penrose7

宇宙検閲仮説
 裸の特異点が存在すると、物理現象の因果関係が破綻するため、宇宙検閲仮説というものが考え出された。裸の特異点が存在しないように、宇宙自体が検閲し、禁止しているという仮説である。
 1992年にシャピーロとトイコルスキーによって示された、円盤状の塵の崩壊のシミュレーションでは、崩壊した軸上の少し外れた点において、曲率が無限大になり破綻した。このシミュレーションでは事象の地平面ができなかったので、裸の特異点が形成されたと考えられた。この結果は、宇宙検閲仮説が破れていると受け取れる。ホーキングは、キップ・ソーンと、「宇宙検閲仮説」は守られるかどうかで賭けをしていたが、このシミュレーション結果に対し、数年後、ホーキングが負けを認めた。したがって、裸の特異点が存在する可能性は高い。

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<参考>

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タイムマシンの原理その6

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、カー=ニューマンのブラックホールについて解説する。

カー=ニューマンのブラックホール
 ロイ・カーが回転するブラックホールの解を発表してから2,3年後、ピッツバーグのエズラ・ニューマンとその同僚が、電荷を持ち回転するブラックホールの解を発表した。カー=ニューマンのブラックホールのペンローズ・ダイアグラムを下図に示す。正のCTL領域が追加された形となっている。リング状特異点を通り抜けなくても、正のCTL領域に到達できるので、過去にさかのぼることができる。
Penrose6

正のCTL領域
 リング状特異点の内側には、正のCTL領域つまり正の閉じた時間の環が存在する。カーのブラックホールには正のCTL領域は存在せず、負のCTL領域しか存在しなかった。しかも、負のCTL領域に行くにはリング状特異点の中心を通り抜ける必要があった。下図にカー=ニューマンのブラックホールのイメージ図を示す。リング状特異点に到達するまでに一方通行の膜が二つ存在する。リング状特異点の内側領域に正のCTL領域が存在する。リング状特異点の中心を通り抜けると負のCTL領域となり、さらに進むとそこは負の時空領域となっている。正の時空領域に戻り、一方通行の膜を二つ抜けて出てくると、そこは別の宇宙となっている。
Kerrnew_1

タイムトラベルの可能性
 カー=ニューマンのブラックホールは、リング状特異点の中心を通り抜けなくても正のCTL領域に到達できるので、そこで回転軸と反対方向に回転すると、その回った回数に応じて過去にさかのぼることができる。ただし、一方通行の膜が存在するので、元の宇宙に戻ることはできず、別の宇宙へ行ってしまう。その別の宇宙は、われわれの宇宙の離れた領域かもしれないし、パラレルワールドになっていて、われわれの宇宙とそっくりの宇宙かもしれない。

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タイムマシンの原理その5

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、いよいよ、カーのブラックホールについて解説する。

カーのブラックホール
 シュワルツシルトとライスナー=ノルドストロームの解が発表されてから約半世紀が過ぎた1963年に、ニュージーランド生まれの物理学者ロイ・カーが、強力な重力を持ち、高速で回転する物体のアインシュタイン方程式の解を発見した。カーのブラックホールのペンローズ・ダイアグラムを下図に示す。カーのブラックホールには、三つの特徴がある。リング状の特異点、負の時空領域、負のCTL領域である。また、ライスナー=ノルドストロームのブラックホールと同様に、時間的特異点とペーパードール・トポロジーもある。
Penrose5

リング状の特異点
 カーのブラックホールは、特異点が点ではなく、回転軸を取り巻くリング状の形をしている。このため、無限に湾曲した領域を避けて、ブラックホールの中心に到達できる。ペンローズ・ダイアグラムでは、リング状特異点をギザギザの歯ではなく、丸い歯で表現する。

負の時空領域
 ブラックホールのリングの中心を通り抜けると、そこは元の宇宙ではなく、負の時空領域となっている。そこでは、G×r(Gは宇宙の重力定数、rは中心からの距離)が負になる。中心からの距離が負になるというのは考えにくいので、重力が負になると考えられる。つまり、ブラックホールの中心に達するまでは、引っ張られる力を受けていたが、中心を通り抜けるとブラックホールから反発する力を受けるようになる。

負のCTL領域
 リング状特異点の内側には、負のCTL(Closed Time Link)領域つまり負の閉じた時間の環が生じる。リングの中心を通り抜けて、回転軸の周りを回転方向に回ると過去にさかのぼることができ、その回った回数によってどれだけ時間をさかのぼるかが決まる。そして、リングの中心を再び通って戻ると正の時空領域に戻ることはできるが、一方通行の膜があるので元の宇宙に戻ることはできず、別の宇宙へ抜ける。別の宇宙とは、われわれの宇宙の離れた領域かもしれないし、パラレルワールドになっていて、われわれの宇宙とそっくりの別の宇宙かもしれない。

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タイムマシンの原理その4

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、ライスナー=ノルドストロームのブラックホールについて解説する。

ライスナー=ノルドストロームのブラックホール
 シュワルツシルトがアインシュタイン方程式の解を発表したのとほぼ同じころ、ドイツの物理学者ハインリッヒ・ライスナーとフィンランドの物理学者グンナー・ノルドストロームは、質量だけでなく電荷も持っている場合のアインシュタイン方程式を解いた。ライスナー=ノルドストロームのブラックホール・ダイアグラムは下図のようになる。これには、二つの大きな特徴がある。それは、時間的特異点とペーパードール・トポロジーである。
Penrose4

時間的特異点
 シュワルツシルトのブラックホールの中心には空間的特異点が存在したが、ライスナー=ノルドストロームのブラックホールには時間的特異点が存在する。また、通常空間と特異点を隔てる一方通行の膜が二つ存在する。時間的特異点は、時間の流れに並行しており、空間的特異点と違い、時空を巧妙に航行すれば避けることができる。たとえば、Mから出発した旅行者は通路Aを通って、時間的特異点を避けて第三宇宙に到達できる。また、通路Bを通って第四宇宙に到達することもできる。
 一方通行の膜は、通過すると時間が空間に変わり、空間が時間に変わる。一方通行の膜を奇数回通過すると空間的特異点に到達し、偶数回通過すると時間的特異点に到達する。

ペーパードール・トポロジー
 シュワルツシルトのブラックホールには別の宇宙が一つあるのに対して、ライスナー=ノルドストロームのブラックホールには別の宇宙が無数に現れる。折りたたんだ紙から切りぬいた紙人形のようなので、ペーパードール・トポロジーという。
 時間的特異点は、入口用と出口用の二つの一方通行の膜を持っていて、ブラックホールとホワイトホールの両方の働きをする。
 別の宇宙は、まったく別の宇宙かもしれないし、われわれの宇宙の一部かもしれない。また、元は一つの宇宙だったものが分裂して、ほとんど同じような歴史をたどっているパラレル・ワールドなのかもしれない。時間旅行者が過去に戻った時点で宇宙が分裂し、われわれの宇宙とそっくりのパラレル・ワールドが形成されるのかもしれない。もしそうだとしたら、自分が過去に戻って親を殺したとしても、そこは自分のいた世界とは別の世界なので、自分が消滅することはない。すなわち、親殺しのパラドックスは生じない。

タイムトラベルの可能性
 ライスナー=ノルドストロームのブラックホールが発生した時点で、われわれの宇宙から分裂したパラレル・ワールドが出現するとしたら、時間旅行者が別の宇宙に到達した時点では、われわれの宇宙とまったく同じような世界になっていて、その時点から少しずつ未来が変わっていくと考えられる。時間旅行者は、一方通行の膜があるので、元自分が住んでいた未来に戻ることはできない。ただし、ほとんど同じような未来の世界に戻ることはできるかもしれない。
 ライスナー=ノルドストロームのブラックホールは、強力な重力に抵抗するだけの強力な電荷が必要である。そのような強力な電荷は、そこにあるどんな物質もイオン化し、そのイオンによってブラックホールの電荷を中和するように働くので、宇宙の中にはライスナー=ノルドストロームのブラックホールは存在しないと考えられる。
 別の宇宙がわれわれの宇宙の離れた領域とすると閉じた時間の環CTLが形成され、タイムトラベルが可能であるが、そうでない場合は、ライスナー=ノルドストロームのブラックホールではタイムトラベルは不可能である。

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タイムマシンの原理その3

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、シュワルツシルトのブラックホールについて解説する。

シュワルツシルトのブラックホール
 1917年、アインシュタインは一般相対性理論の方程式を完成し、重力により時空がゆがめられることを説明した。同じ年に、ドイツの天文学者カール・シュワルツシルトが、球対称で回転していない質量の周りの、ゆがんだ時空を記述するアインシュタイン方程式の解を発表した。シュワルツシルト半径より内側からは光でさえ飛び出すことができない。太陽と同じ質量の天体のシュワルツシルト半径は約3kmである。シュワルツシルト半径より凝縮した天体はブラックホールになる。

ペンローズ・ダイアグラム
 ブラックホールによるタイム・トラベルを理解するには、ペンローズ・ダイアグラムを理解する必要がある。世界地図は、球面を二次元で表現するために様々な図法が用いられている。ペンローズ・ダイアグラムは、時空間を二次元で表現する図法の一つである。通常の時空間のペンローズ・ダイアグラムを下図に示す。点Pは時間的過去の無限大、点Fは時間的未来の無限大、点Eは空間的無限大、辺Sは光的過去の無限大、辺Dは光的未来の無限大を示す。光的過去の無限大とは、光速で進む信号で知ることができる最大の時空間を現している。辺Sから発射された光は、左上45°の傾きで現地点の時間線に到達する。辺Sより遠方または過去の世界は知ることができない。光的未来の無限大とは、光速で進む信号を送ることができる最大の時空間を現している。
Penrose1

シュワルツシルト・ブラックホールのペンローズ・ダイアグラム
 シュワルツシルト・ブラックホールのペンローズ・ダイアグラムは、下図のようになる。時空のゆがみが無限大となる特異点が生ずる。ペンローズ・ダイアグラムでは、慣例として特異点をギザギザの線で表す。特異点からシュワルツシルト半径だけ離れたところに、一方通行の膜がある。ペンローズ・ダイアグラムでは、<印で表す。点Mから出発した旅行者は、一方通行の膜を通って特異点に吸い込まれ、そこから出ることはできない。
Penrose2

シュワルツシルトの解すべての表示
 アインシュタイン方程式のシュワルツシルトの解のすべてをペンローズ・ダイアグラムで表現すると下図のようになる。一方通行の膜をもつ第二の宇宙が出現し、さらに、物質を吐き出すホワイトホール(過去の空間的特異点)が発生する。ホワイトホールは、ブラックホールを時間反転したものといえる。ホワイトホールのシュワルツシルト半径も一方通行の膜であるが、この膜は物質を吐き出すだけで内部に入れることはない。
Penrose3

第二の宇宙
 この宇宙の中で、ブラックホールと考えられる天体は、いくつか発見されているが、ホワイトホールと思われる天体は発見されていない。この宇宙の中には、ホワイトホールは存在しないのかもしれない。
 アインシュタイン方程式の解で出現する第二の宇宙は、1935年に、アインシュタインとナザン・ローゼンが、素粒子のモデルとしてシュワルツシルトの解を使おうとしたときに発見された。第二の宇宙は、われわれの宇宙とは独立した別の宇宙かもしれないし、われわれの宇宙の離れた領域かもしれない。アインシュタインとローゼンは、第二の宇宙は、われわれの宇宙の離れた領域と推定した。二つの宇宙は、光より速い信号を使わないと通信できない。二つの宇宙をつなぐ超光速の空間的結びつきを、「アインシュタイン=ローゼン・ブリッジ」または「ワームホール」と呼ぶ。量子力学の世界では、「量子テレポーテーション」という瞬時に量子の状態が伝わる現象がある。これは、ワームホールによる現象ではないかと考えられた。

量子テレポーテーション
 何もない空間にガンマ線を照射すると、電子と陽電子が対生成する。電子と陽電子は、互いに逆向きのスピンを持っているが、不確定性原理により、スピンの向きは観測するまで不確定である。対生成した片方の電子のスピンの状態を観測してアップスピンだったとすると、その瞬間にもう一方の陽電子のスピンの向きがダウンスピンに確定する。電子と陽電子がどんなに離れていたとしても瞬時に確定する。このような対の量子の状態を「量子もつれ」という。量子テレポーテーションは、実際に粒子が別の空間へ移動することではなく、量子もつれの状態の片方の量子の状態が確定すると、瞬時にもう一方の量子の状態も確定することをいう。
 量子テレポーテーションを利用して、絶対に盗聴不可能な量子暗号化技術が開発され、実用化されようとしている。量子暗号化は、量子もつれ状態の光子の偏光状態を観測することによって、暗号鍵の伝送を行っている。
Tsuisei

タイムトラベルの可能性
 シュワルツシルトのブラックホールは、第二の宇宙が出現し興味深いが、第二の宇宙と通信するには、超光速信号を使わなければならない。量子テレポーテーションは、量子の状態が瞬時に確定するというだけで、情報を超光速で送れるわけではない。たとえ、ワームホールを使って第二の宇宙に行くことができたとしてもタイムトラベルは不可能である。

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タイムマシンの原理その2

 2036年からやってきたジョン・タイターが乗ってきたタイムマシンは、カーのブラックホールを利用しているらしい。その原理について少しずつ解説していく。今回は、ティプラーの円筒について解説する。

無限に長い回転する円筒
 1974年、ルイジアナ州テュレイン大学の数理物理学者フランク・ティプラーは、無限に長く質量の大きい円筒の表面が、光速の1/2以上の速度で回転すればCTL(閉じた時間の環)ができることを指摘した。つまり、CTLに沿って円筒の周りを回転すれば、タイム・トラベルが可能である。円筒の回転方向と同じ方向に回転すれば未来へ行き、逆方向に回転すれば過去へ行くことができる。

有限の長さの回転する円筒
 ジョン・グリビンは、太陽と同じ質量で長さが100km、半径10kmの円筒を1ms(ミリ秒)に2回転させるとCTLができることを計算した。天体の中には、パルサーといって数ms周期で電磁波を出しているものがある。これは、非常に重い物体が超高速で回転しているということである。宇宙の中にCTLが存在している可能性もある。
 有限の長さの円筒は、どんなに硬い物質で作ったとしても、半径方向は遠心力により支えられるが、回転軸方向はその強力な重力によりつぶれてしまう。つまり、ブラックホールになってしまうのである。したがって、有限の長さの回転する円筒は、実現することはできない。
Tipler

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